大判例

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仙台高等裁判所 昭和26年(う)27号 判決

しかし、本件の濁酒がいずれも酒精分一度以上の酒税法にいわゆる濁酒であることは原判決が引用した証人吉田義男同阿部浅香の証言により認められるところであり、濁酒の酒精分については必ずしも科学的方法により検定を要すると解さねばならぬものでもなく、要するに、酒税法にいわゆる濁酒であることが、判明すれば足りると解せられる。殊に記録によると、本件の濁酒密造を摘発した平税務署収税官吏等が酒精分六、七度の濁酒と認めて之を差押え税務署に運搬しようとしたところ多勢の朝鮮人によつて暴力を以て桶を破棄され且つくつがえされたため、運搬不能に帰した本件の場合の如きに於ては、酒精分の科学的検定のないことを攻撃する論旨は、難きを強うるものであつて、採用できない。前記各証言により経験者である同証人等が舌感により酒精分六、七度の濁酒と認めている以上、これにより本件の濁酒が酒税法に言う濁酒であると認定することは何等経験則に反するものでもない。論旨は理由がない。同控訴趣意の二、三について。

検察官は本件濁酒計六石三斗の原仕込量につき当初の起訴状においては「四斗桶一個につき米三升米麹二升水一斗の割合で仕込み」としながら、原審第三回公判期日において、これを「四斗桶一個につき米三升米麹六升水約二斗の割合で仕込み」と訂正し、原判決もまたこれに基き右訂正された仕込量のものを醗酵させて濁酒合計六石三斗を製造したと認定判示していることは記録の示すとおりである。このように、原判決は、所論のように「四斗桶一個につき米三升、米麹二升、水一斗の割合で仕込み」その結果これを醗酵させて濁酒六石三斗を製造したと認定したわけではないのであるから、この仕込量では、かような濁酒は作れないという論旨はまとはずれのものと云うの外なく、また、本件の訴因は被告人が免許を受けないで濁酒計六石三斗を製造したということにあるのであつて、この点が動かない限り、単にその仕込量を前記のように訂正したからと云つて、何等基本的事実関係には変更がないのであるから、もとより、訴因の変更を要すべき場合でもない。従つて、この仕込量を訂正したことを攻撃する所論も採るに足らない。

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